【連載コラム】中国問題

連載コラム『日本国滅びの美学』

〜滅びの美学〜


今回の尖閣【1】 に端を発した中国との外交問題。私はこれを深く突き詰めれば、日本という国に『滅び』を呼び込む議論でありながらも、これから日本という国がこのアジアに存在する限り避けて通れない道であると考える。
ここには共産主義とか一党独裁とかという『中国の政治体制側の問題』、『マインドコントロールされやすい国民性をもつ日中両側に共通する民族性の問題』、『アジアの覇権利権を狙おうとするアメリカの問題』などが山積されているのであるが、この問題を未来に火種を残すような腰砕け外交にせず、理性的に毅然と解決しようとすれば間違いなく日中は全面戦争に突入する可能性が高い。

私がこれを論ずるときに『滅びの美学』と題したのはそういうわけであって、日本という国は『滅び』というものにすら美と意義を見つけ出す民族なのである。そして、その潔さや覚悟が日本という国を日本たらしめてきたわけで、それは私にとってかけがえのない『日本人の美学』だと言えるシロモノなのだ。
しかし、いつの間にかそれを失ってしまった日本人は、その腰砕けと上っ面の外交を展開するようになってきた。それを思えば江戸時代末期に尊皇攘夷を唱えた維新志士たちの熱い思いと外交は、例えそれが無謀であったとしても、今の日本外交よりよほど論理的で愛国心に溢れたものだったという感慨深さすら感じる。

そして、その変化こそが逆に中国や韓国の信頼を失墜させてしまった原因だと私は考えている。確かになんでも文句を言えば言いなりになってくれる国は扱いやすいかも知れないが、真に信頼しあって歩むパートナーとはなりえないのである。
だからこそ、今日本はこの美学をもって中国に相対するべきだと思う。そして、この必至で悲壮の覚悟をもって望んだ外交が、結果的に中国との問題を解決し、対世界におけるアジア共同体の実現に向けば、日中両国がともに栄える道を模索することができると私は信じている。この論は、その思いを元に論じるものである。

日本に来ている中国人留学生や就労者の話を聞けば聞くほど思う。日本は必ず中国と分かり合える、と。少なくともアメリカよりもずっと近い国民性と生活様式を持つこの人々とこそ共に歩むべきなのだ、と。

【1】 尖閣諸島。沖縄県石垣市に属し、東シナ海の南西部、八重山諸島の北部に位置する。いくつもの島から成り立っており、別名尖閣列島。大正島は国有地。他は私有地で2002年より日本国が貸借している(例:魚釣島年間2112万円)。1870年に福岡県の実業家古賀氏が開拓して以来、所有権があちこちに渡り、現在は埼玉県内の結婚式場経営者に譲渡されたままとなっている。一時期は280名あまりの島民が暮らしていた。(同島内のカツオブシ工場・アホウドリの羽の加工場に勤務)

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