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結果は予想通りの日本代表の勝利に終わったが、序盤から激しい当たりを見せるｶﾞﾁﾝｺ勝負に会場は沸いた。
前半、遠藤の放ったﾌﾘｰｷｯｸが美しい放物線を描いてｺﾞｰﾙに吸い込まれた。直線的で強いﾌﾘｰｷｯｸが流行するなかで、久しぶりに見た美しい放物線に、Dr.Kは鳥肌が立った。
さらに、FWが抜け出しての2点目と、日本代表は十分に貫録を見せつけた展開に、３－４－３というｼｽﾃﾑ変更によるﾊﾞﾗﾝｽの悪さは微塵も感じなかった。
長友のｽﾋﾟｰﾄﾞや抜け出しが目立ち、本田のFWのようなﾌﾟﾚｰやｱｼｽﾄも光る。活躍すべき選手が活躍した展開に、Jﾘｰｸﾞ選抜は圧倒されたまま前半を終えた。旧日本代表で、ｱｼﾞｱでは鉄壁を誇った中澤、ﾃｭｰﾘｵらのﾃﾞｨﾌｪﾝｽ陣をまったく意に介しない連携と技術、そしてｽﾋﾟｰﾄﾞだった。
後半には、日本代表は控えの選手を大量投入。遠藤と本田、長谷部によるﾎﾞｰﾙ管理を、松井に任せて、次々とｵﾌﾟｼｮﾝを試した。ｼｽﾃﾑも従来の形に戻し、各選手は実戦での自分の役割を確認しつつ、試合が進む。
後半になって、やや決め手を欠く展開が進み、中村俊の得意とする大きなｻｲﾄﾞﾁｪﾝｼﾞに会場が沸くが、決定機がなく試合はﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした雰囲気に包まれたが、『ｶｽﾞ』の投入で局面は一転した。
『ｶｽﾞ』のｱﾅｳﾝｽに、会場は大歓声に包まれた。会場からはｶｽﾞｺｰﾙが起こり、誰もが彼に期待を寄せた。
最初はなかなかﾎﾞｰﾙにﾀｯﾁできなかったが、日本代表のときのように、ﾃﾞｨﾌｪﾝｽﾗｲﾝまで下がってﾎﾞｰﾙにﾀｯﾁし、ﾜﾝﾂｰなどで中盤を作りにかかる。
そして、ついに『その瞬間』はきた。
大きく前線にﾌｨｰﾄﾞされたﾎﾞｰﾙをﾃｭｰﾘｵが頭で落とす。そこに走りこんだｶｽﾞは一気に抜け出してｷｰﾊﾟｰと1対1の状況を作り、その脚からは気持ちのこもったｼｭｰﾄが放たれた。
もちろん、W杯予選などであれば一発ﾚｯﾄﾞ覚悟でｷｰﾊﾟｰは相手の足をつかみにいくような場面だが、ﾁｬﾘﾃｨｰﾏｯﾁではそこまでﾀﾞｰﾃｨｰなﾌﾟﾚｲは許されない。ｶｽﾞはそのままｺﾞｰﾙ裏で懐かしのｶｽﾞﾀﾞﾝｽを見せた。
ｲﾁﾛｰ、本田風にいえば、『持っている』ｶｽﾞのｺﾞｰﾙだった。会場は最後の見せ場におおいに沸き上がった。ｶｽﾞﾀﾞﾝｽをするかどうか迷った、とのちにｶｽﾞが語ったが、こんなときだからこそ見たかった英雄ｷﾝｸﾞｶｽﾞのﾀﾞﾝｽとｺﾞｰﾙだ。
試合内容としても、日本代表は３－４－３を成功させ、控えの選手もｺﾝﾋﾞﾈｰｼｮﾝを確かめられたいい機会になった。得るものが大きな試合になったことは間違いないと言える。
今後の日本代表にも期待できる圧巻の試合だった。
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